特集 Feature
観光協会がまとめたトリップアイデアや
季節のオススメ情報などをお届けします。
半田の郷土ずしについてと先日行われたトークセッション「新日本すし紀行in半田」の取材レポートです。
- 開催場所:半田市
みなさん、こんにちは。
突然ですが半田の「郷土ずし」って、なんだかご存知ですか?
それは「箱ずし」です。
箱ずし自体は全国に存在するのですが、ポイントは「具材を斜めに配置」していること。
それは尾張や西三河地域を中心とするエリアの特徴なのだそうです。
でも半田市内には、それを覆す“幻の箱ずし”も存在するとかしないとか!?
そんな郷土ずしといえば、半田を代表するお酢メーカー・ミツカンさんのHP「すしラボ」では全国のさまざまな郷土ずしが紹介されています。
そのコーナーは「新日本すし紀行」。
覗くととても面白いんですが……あれ?なぜか地元・半田の箱ずしが載ってないじゃないですか(泣)
※2023.11.8時点
というわけで先日、ミツカンさんによる半田の箱ずしの取材が行われました。
そして夜には、トークセッション「新日本すし紀行in半田」も開催。
自己紹介が遅れましたが、私はレポート役として参加させていただいた、半田市在住のフード系編集ライター竹内葉子と申します。
今回は当日の様子をダイジェストでお届けします!
【1】半田の箱ずしと幻の箱ずし
この日、箱ずしを作ってくださったのは、成岩で活動する「サンクテーブル」の澤田さん、正村さん、小川さんと、半田商工会議所女性会から亀崎在住の江上さん、間瀬さん。
取材に訪れたのは、「新日本すし紀行」を連載する郷土ずし研究家・日比野光敏さんと、ミツカンのお酢博士・赤野裕文さんという豪華メンバー。ミツカンのスタッフさんや、HP制作会社の方、そして中日新聞の記者さんもいらっしゃいました。
具材は各家庭で違いますが、今回は成岩でよく作られている半田のスダンダードと言われているものと、幻の箱ずしを、仕込みから見せていただきました。
ちなみに成岩は、メジロ(アナゴ)を入れない家庭が多いそうです。
でも海に面した亀崎では入れるそうなので、半田の中でも地域性があって面白いですね。
(切り方も、成岩は12個、亀崎は8個に切ることが多いと言われていますが、これは使う木枠のサイズにもよります)
【1-2】これが幻の箱すし!
じゃーん!
半田市内の亀崎地区ではかつて、あさりオンリーの箱すしが作られていたということで、今回それも再現していただきました。
亀崎で育ったご年配世代でも、知る人ぞ知る“あさりだけ”の箱すし(写真左)。なぜ幻かというと、昔は近くの海でよく獲れていたあさりですが、近年は減少が続いているため、超稀少になってしまったそうです。
【1-3】箱すしとお祭りの食文化
ところでみなさん、箱ずしっていつ食べますか?
そう、お祭りの日が多いですよね。
昔はお母さんやおばあちゃんが、巻き寿司といなり寿司も作ってたな〜、なんてご家庭も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、その2つもこしらえてくださったのですが、日比野さん曰く「箱ずしだけでなく、同じ日に巻き寿司といなり寿司も揃えるのは、全国的にもめずらしい文化」、と教えてくださいました。
5段重ねられる木枠も、珍しいんだそうですよ。
手の込んだご馳走が並ぶお祭りの日。
亀崎地区では「串あさり」も食べるということで、それも特別に用意してくださいました。半田のなかでも亀崎という小さなエリアで、5月の祭礼「潮干祭」の頃だけ作られる郷土料理。
生のあさりを串に刺し、軽く干しあげたものが「串あさり」です。
炙ったり天ぷらにして噛み締めると、凝縮された旨みがじわじわ出てくる珍味なのです。
そうそう、お祭りの頃は、水ようかんも欠かせませんよね。
「半田郷土史にも載っている」、と見せてくださった赤野さん。
盛りだくさんなこの日の取材がどんな記事になったかは、ぜひこちらをご覧ください。
ちなみに箱ずしは「押しずし」の仲間。
作りたい、食べたい、とワクワクした方は、お店で食べるもよし、お気に入りの具材で作るもよし。ぜひ推し活ならぬ、“押し活”してくださいね!
半田市観光協会では、今後ワークショップ開催に向けて調整中とのことなので、楽しみですね。
【2】トークセッション「新日本すし紀行in半田」
ここからは、同日の夜に行われたトークセッションのご紹介です。
場所はなんと!長さ20mの大きな弁才船が鎮座する、ミツカンミュージアム内の「時の蔵」。
江戸時代はこういった船で、半田から江戸へ粕酢が運ばれ、握りずしがブームになったんですよね。おすしの話を聞くにはぴったりな場所です。
参加者は市民を中心に30名の方々。
みなさん熱心に、日比野さん(郷土ずし研究家)と赤野さん(ミツカンお酢博士)のお話に聞き入っていました。
司会は半田市出身のアナウンサー・小野木梨衣さん。
話題は、お昼に行われた半田の箱ずしの話から、県内や全国の郷土ずしと地域性のお話はもちろん、半田のお酢とすしの深い関係性、そして東南アジアから始まったすしの歴史、海外での展開、進化系おすしのことまで広がりました。
他にも
江戸時代はマグロがすしネタとして邪道だった!?
豊川にはイチゴいなりがある!?
など意外すぎるトピックも飛び出して、会場のみなさんもびっくり!
最後の質問コーナーでも興味深い回答が伺えました。
・なぜ「おすし」という名前なの?
・お酢を日常に取り入れるには?
・お寿司は将来、宇宙食になる?
そんなトークの内容は下の動画でご覧いただけます。
楽しくて学びにもなるエピソードが満載で、みなさんから最後に素敵な笑顔をたくさんいただきました。
【2-1】半田は酢のまち、すしのまち
さて、半田市観光協会では、「半田をすしの町にしたい」という想いで5年前からPR活動に取り組んできたそうです。
たとえば、おすしが食べられるお店を増やすべく飲食店と協力し、
・江戸時代のお酢を復刻した「山吹」のおすしを作ってみたり、
・江戸のすしを半田で「尾州早すし」として再現したり、
・「尾州早すし」のPR動画をつくったり、
・半田のすしスポットを紹介する冊子「すしぼん」も制作
・スタンプラリーやトークイベントを開催
・箱ずしのワークショップを開催
・新しい「知多つつみすし」の開発、モニターツアー
などなど
トークセッションでお酢博士の赤野さんはこう語られていました。
江戸で箱ずしが握りずしに進化しブームになったとき、その広がりを支えたのは、半田で生まれた粕酢。
その握りずしは今、世界に広がる存在となりました。
そして、半田にはそんな歴史や食文化があることを、子どもたちに伝えていきたい、と。
半田市観光協会の方々も同じ気持ちで、
これからもさらに楽しい企画が展開されるそうです!
今年も11月1日「全国すしの日」に合わせて、子どもたちを対象に「握りすし体験」を行ったそうですよ!
これからもぜひ半田でおすしを楽しみましょう〜。
編集・文・写真:竹内葉子